蒼い太陽
そう言うとミシャはゆっくりとアヤトの顔に近づき再び唇を重ねようとした――…


「…っやめろ!」


アヤトは痺れの残る右腕をなんとか動かし、ミシャを振り払う。


その拍子に、手がミシャの左耳をかすり、ミシャのピアスがカシャンッと外れ床に弾き落とされた。


首を動かし、それを見る。


―――黒い…水晶?


「…」


ミシャもまた、外れたピアスを無表情で見つめていた。


「黒い水晶…闇水晶…―――!?」


アヤトは素早く魔力を放出し、自分に馬乗りになっていたミシャを突き飛ばした。


「キャアっ!!」


突き飛ばされたミシャは空中でひらりと身体を反転させ、見事に着地する。


「ミシャ、お前…」


ピアスが外れ、ミシャからは闇族の気配が滲み出ていた。


アヤトは今のミシャを目の当たりにして、激しく動揺していることが嫌でもわかった。


嘘だ…信じられない、


そんな思いだけが、アヤトを支配していく。


どくん、どくん、と大きく心臓が跳ねる。


「あれで闇族の気配を消していたのにな…もう隠しようがないわね。」


ミシャはぽつりと話し始める。

ミシャは右耳のピアスも外した。オレンジ色の、水晶だ。


「こっちは太陽族の気配を創る。上手くできているでしょう?」


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