蒼い太陽
第十三章†闇と月の扉
「綺麗ね〜。満月だけで育った月水晶ってこんなにも違うのね。父様がこんなもの隠し持ってたなんて、知らなかったわ。」
ダリアが月水晶を眺めながら、目を輝かせてうっとりとしている。
「うん、私もびっくりした。」
フィリシアはペンダントを手にとり、愛おしそうに眺めた。
「それがあれば、体調も維持出来るんだろ?良かったね。」
ユウもにこりとフィリシアに言った。
フィリシアがレガートとの話を終えて部屋に戻ってきてから間もなく、ダリアとユウが部屋にやってきた。
レガートとどのような話をしたのか、気になっていてもたってもいられなくなったのだろう。
「まぁ、魔法はあまり使わない方が良いみたいだけどね。でも良かった、こんなに身体が軽いの、久しぶりだから。」
そう言うと、フィリシアはそれまで腰掛けていたベッドにぼすんと倒れ込んだ。
じっと、天井を見つめる。
今までの体調不良が嘘のように、フィリシアの身体は軽かった。
月水晶の威力はすごいらしく、ペンダントを譲り受けるとすぐに、フィリシアの体調は以前のように戻った。
「良かった、フィリシアが元気になって。」
ダリアが独り言のように呟く。その表情はとても柔らかく、優しかった。
「クスッ…」
「何よ、ユウ。」
「いや?フィリシアも元気になったけど、お前も元気になったなって。ちょっと前までずっと暗い顔してただろ。」
にこにこと、ユウはどこか嬉しそうに笑った。
「そっそんなこと…ないもん…」
ダリアは真っ赤だった。だんだん語尾が小さくなっている。
「よほど、フィリシアが心配だったんだな。」