蒼い太陽
「当たり前じゃない!だって…――――わっ!!」


突然、フィリシアがダリアにぎゅっと抱きつくものだから、ダリアは驚いて飛び跳ねてしまった。


「ふふ、ダリア、ありがとう。」


フィリシアはふわりと笑った。




「月の族長は、どうしてレガート様にわざわざソレを預けたんだろう?」


二人を傍観していたユウが、ふと改まってそう切り出す。


「なんか…まるで、自分が消えることがわかってたみたいじゃないか?自分で持っていて、一番必要とする奴に渡した方が確実だろ?」


「確かに…、そうよね。フィリシアは何も聞いていないの?」

きょとんと、ダリアはフィリシアに尋ねる。


「うん、ただ譲り受けたんだって、言ってた。」


「フィリシアは族長と会ったことないの?」


ダリアが首を傾げて尋ねる。


「うん、ないかな。月族が消滅したのはずっと前で私はまだ小さかったし、見たことあるのかもしれないけど覚えてない。」

「ねぇ?ご両親のこと、聞いても良い?フィリシア綺麗だから、お母様も綺麗だったのかなって。お母様から族長さんの話とか、聞いたことないの?」


ダリアが遠慮がちに尋ねる。


月族は闇族によって滅ぼされているため、なんとなく聞きにくいのだろう。


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