蒼い太陽
「ん〜…親も、覚えてない。ずっとおばあちゃんが育ててくれてたし、親っていないのかも…」


「そっそうなんだ。」


「「「…」」」


少しの間、三人に沈黙が流れる。フィリシアは会話を止めてしまったのではないかと、少しヒヤヒヤとしていた。


「俺、最後の月の族長、見たことある。」


唐突に、ユウが切り出した。


「え?」


「俺だって小さかったけど一度だけ、見たことあるんだ。うろ覚えだけどね。

昔、レガート様が月族の城に招かれた時に、当時レガート様の側近だった俺の父親について行ったことがある。

アヤトの親父さんも一緒だったな。確か…銀色の長い、ウェーブのかかった綺麗な髪をしていた。

あんまりにもキラキラしてたから、髪がよく印象に残ってるんだろうな、顔は覚えてないけどね。」


「銀色の髪…」


フィリシアには思い浮かぶ人物がいた。


最近、よく夢に見るあの泣いている女性だ。


「フィリシア、何か思い出した?」


考え込むフィリシアを見てダリアが尋ねる。


「え?あ、ううん。全然…ただ、最近よく夢に出てくるヒトも銀色の髪だったんだ。」


「「夢?」」


ユウもダリアもきょとんとしている。


「うん、よくわからない夢。そのヒト、ずっと泣いてるんだ。」


「族長さん…だったりするのかしら?」


今度はダリアが手を頬に当て考え込む。


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