蒼い太陽
自分の起こした風が舞い戻って来たとき、この空間にはない、生き物の匂いが混じった風が一緒に戻ってきた。


太陽に温められた優しい風だった。


いつの間にか肩に乗っていた魔物はキュイと鳴くと、フィリシアの頬に擦り寄った。


その愛らしい姿に少し落ち着きを取り戻すことができた。


「久々に魔法を使ったから少し疲れたみたい。君があの人を連れてきちゃったの?」


そう尋ねてみたが、魔物はキュイと鳴くだけだった。


フィリシアはこの魔物をキュイキュイと名付けた。


単純すぎるかな?なんて思ったが、それしか思いつかなかったし、何かに名前をつけるなんて初めてのことでとても楽しい気分になることが出来た。


その時から、キュイキュイはいつもそばにいてくれるようになった。
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