蒼い太陽
「え?」


「フィリシアはこんな悲しそうな顔してないじゃないー!」


思わずダリアが口を挟む。


「顔とかじゃなくて、なんて言うか…雰囲気?」


ユウは難しそうな顔をして考えている。


「似てるかな?」


フィリシアは再び絵画に視線を移した。


少し下のところに、名前が書いてある。


【ルティア・キリト・スウェリア】


―――…最近夢に出てくるヒト、族長だったんだ。


でもどうして?


族長とは会った記憶ないけれど、会ったことがあるのだろうか?


どうして、族長は泣いているのだろう。


どうして、自分の夢に出てくるのだろう。


向こうはフィリシアの名前も知っていた。


もしかして……生きているのかな?




夢に出てくる人物が誰なのかはわかった。しかし、疑問は深まるばかりだった。




――――――――……


「「「!!!」」」


その時、絵画を見ていた三人に突如寒いくらいの戦慄が走った。


「何…これ…」


この気配に、ダリアは青白い顔をしてカタカタと震え始めた。

「ダリア…!」


ユウがダリアをぎゅっと抱きしめる。


「これは…」


ユウは神経を集中させて突然城内に現れた気配を察知しようとしている。


「闇の気配。」


フィリシアはぐっと、拳を握った。


< 303 / 352 >

この作品をシェア

pagetop