蒼い太陽
嫌な予感がどっと押し寄せてくる。


どくん、どくんと心臓が大きな音を立て始めた。


こんなに闇の気配が突然大きくなるなんて…ミシャが、ピアスを取ったに違いないんだ。


でも、どこで…?


「―――――!アヤトが危ない!」


フィリシアが二人を見ながら声を荒げた。


「アヤト!?どうしてアヤトなの!?」


ダリアが泣き出しそうな声で訴える。


「フィリシア、闇族がどこにいるのかわかるのか?」


ユウは震えるダリアをぎゅっと抱き寄せ、落ち着かせようとしていた。


「集中して気配を読めばわかる。危ないんだ、行かなきゃ!」

以前、ミシャが言っていた、ミシャの狙いはアヤトだ。


それを知るのはフィリシアしかいない。


状況を把握出来ていない二人は焦るフィリシアを見てさらに動揺しているようだった。


「ユウは、ダリアを安全な場所に連れて行ってあげて。」


そう言うと、フィリシアは絵画の間を出る扉へと駆け出した。

その時、部屋中にキーンという鋭い音が響き渡った。


思わず耳を塞ぎたくなるその音は、部屋中の絵画をガタガタと振動させていた。


フィリシアも思わず立ち止まり、耳を両手で塞ぐ。


「今度は何なの!?」


後ろでダリアが叫ぶ声が聞こえた。


それに答えるようにフィリシアの目の前で、空間が裂けた。


大きくバチバチと音を立てながら、空間の亀裂はどんどん大きくなり、やがてヒト一人がやっと通れる程に亀裂は広がった。

「――――わざわざ探しに行ってくれなくても、私はここよ?」


亀裂から冷たい声が響くと、ついに声の主がくるんっと身体をよじりながら亀裂から這い出てきた。


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