蒼い太陽
肩先でキラキラと輝く金髪、透き通った碧の瞳、すらりと伸びた手足、ほんの少し前まではユウやアヤトと同じく太陽族としてレガートに仕えていたミシャの姿はそこには無かった。


「キャア!み、ミシャ…?なんなの?それ…」


ダリアが途切れ途切れに言葉を発する。


その瞳はミシャに釘付けだった。


ユウに抱きしめられながらユウの服をキツく握りしめ、真っ青になりながらミシャを見つめている。


ダリアの言った“それ”とは、ミシャの禍々しい光を放つ深紅の瞳と、その気配のことだろう。


「ミシャ、お前だったのか?」

ユウもミシャに鋭い視線を向けていた。


さすがは族長付きの魔術師、この場の状況を既に把握することが出来ている様子だ。


「ふふ、“初めまして”ユウ・ラディア・コード…、ダリア・リアス・クリスミラ。

私はミシャ・クエント・デリスと申します。」


ミシャはぺこりと右手を胸に当て頭を下げ、恭しく挨拶をするとにっこりとした笑顔を二人に向けた。


いつものミシャの笑顔、なのにどうしてこうも違うのだろう…そんな嫌な雰囲気がミシャを取り囲んでいた。


「ミシャ…」


「フィリシアには前にも会ったものね?私が闇族なんだって、ちゃんと言わないでおいてくれたみたいね?

だってそうよね、私が闇族だなんて誰も信じてくれる筈ないもの。」


ミシャは面白そうにクスクスと笑うと、広い部屋をぐるりと囲む絵画たちに視線を送った。


「歴代の族長たち…あぁ、やっぱり…ゼオ様が一番素敵だわ。」


ゼオの絵の前まで歩いていき少しの間それをじっと見つめると、今度はレガートの絵の前まで歩きやはりじっと見つめていた。


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