蒼い太陽
レガートはああは言ったものの、剣士のサダがいまだにフィリシアを疑っていたこともあり、てっきりフィリシアが闇族だと思い込んでいた他の剣士たちは想定していた光景と全く異なる状況に大きく動揺しているようだ。


レガート付きの魔術師の一人であるミシャが闇族だと、誰が予測しただろう。


「私の気配を追って…やっときたの?そんなに遅いとすぐに逃げられちゃうわよ?」


あはは、とミシャはからかうように笑った。


その言葉に剣士たちはぐっと何も言えずに立ち尽くしていた。

その中で、剣士のリトはいまだに動揺を隠せないでいた。


憧れていたミシャが、闇族だとは信じられないようだ。


オロオロと皆のやりとりを眺めている。


そんなリトに、ミシャは気がついた。


「リトも、ごめんね?」


「え?」


リトの口からは、弱々しく震える声しか出なかった。


他の剣士たちはくるりと後ろの方にいたリトを振り返って見ている。


「ミシャ様…どうして、そのような悲しい顔で笑っているのですか?」


リトには、ミシャの笑顔が痛々しく感じられたのだ。


ミシャは一瞬、驚いたように目を開いたがすぐにそれを繕うようにうつむいた。


「っええい!何をしている!!奴を!闇族を捕らえよ!!」


それまで傍観していたサダが、痺れを切らして声を張り上げた。


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