蒼い太陽
「…っ行くよ、ミシャ!」


フィリシアは力の限りそう叫ぶと、創りあげた蒼銀の剣を構えてミシャに駆け出した。


突然のフィリシアの動きに一瞬呆気に捕らわれたミシャが恐怖を露わにしながらフィリシアの振り落とした剣を自身の剣で受け止めた。


ぐぐぐっとフィリシアはミシャの剣刃を力で押し込める。


自分の剣刃が今にも顔を傷つけそうになっているミシャも押し戻そうと必死に力を込めていた。


やがて渾身の力でフィリシアの剣を振り解き、ひらりと後方へ跳ね体勢を立て直すと再びフィリシアへと向かう。


カァンッという剣同士のぶつかる音が響く。


ミシャは矢継ぎ早に剣を振り、フィリシアの動きを封じようとしていた。


ヒュン、ヒュンと剣が風を切る音がフィリシアの耳を掠めていく。


「…これで、最後だよ。」


フィリシアはそう言うと、剣と同じ色をした蒼銀の風が剣に纏った。


冷やりとしてしまうほどの強大な魔力を纏った風にミシャは思わず身震いするがそれを悟られまいと、自分も剣に漆黒の雷を纏った。






「そう、それで良い……――」





そのミシャの声はあまりに小さく、誰の耳にも届くことは無かった。


どこかすっきりと…そして、はっきりとした声だった…。


< 323 / 352 >

この作品をシェア

pagetop