蒼い太陽




【我が闇の血よ



漆黒の国への鍵となり我に扉を示せ



月の光 扉を守り



闇の王へと誘う道となれ…!】







ミシャの声は既にかすれ、シューシューと息が漏れる音が言葉を作っているようだった。


それでも、力を振り絞ってそう叫ぶと漆黒の風が宙をバチバチと大きく裂き、巨大な空間の裂け目を造り上げた。


裂け目からは背筋が凍りつく程の気配が溢れ出していた。


やがて闇が広がる空間の裂け目の中、亀裂の中に蒼銀に輝く扉が現れた。


その扉は高く高くどこまでも続いている。


あまりにも巨大で、月の光に満ちていた。


闇の気配が深まる中、蒼銀の月の光が届く範囲は、不思議と空気が澄んでいるように見える。

「これは…?」


フィリシアをはじめ、アヤトもユウ、ダリアもその扉に釘付けだった。


「闇族の国…クエントへと通じる扉だ。」


レガートが毅然と説明した。


全員がレガートを振り返り、言葉の続きを待つ。


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