蒼い太陽
「本当に…人がいる。」


黒髪が驚きを隠せないといった様子でそう言った。


「お前、何者だ?ここは太陽族の領土だ。ここで何をしている?」


もう一人が冷たい声でそう尋ねてきた。


フィリシアは質問とは別のことを考えていた。


この二人…ものすごい魔力だ。


昨日落ちてきた人とは桁違い。


抑えてはいるみたいだけれど…抑えているのにこんなに強い魔力。


背中に冷たい水が走ったような寒い感覚が襲った。


「質問に答えろ。」


茶髪の方の声が低くなる。

「その子を離して。」


「…ユウ、離してやれ。用があるのはそいつじゃない。」


ユウと呼ばれた男が手を離すとキュイキュイは一目散にフィリシアの方へ飛んできて肩に乗った。


震えている。


優しくなでてやると、震えは少し収まった。


茶髪の男は軽くため息をついた。



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