蒼い太陽
「月水晶は…」


壊れてしまったことに、アヤトは気づいていたようだ。


「少しの間なら身体の中に補充出来ていた分でなんとかなるよ。大丈夫。

あっちで月族の族宝を取り返せば闇に飲まれた月も何とかなるかもしれない。」


「…わかった。」


避けることの出来ない…運命なのだ。


「何があっても、俺が守るからだから…無理はしないで…」


切なそうに、アヤトが言った。

そんなアヤトの顔を見ると、フィリシアは胸が締め付けられるようだった。


「…ありがとう、アヤト。」


嬉しかった。


素直に、アヤトの言ってくれた事が嬉しかった。


「フィリシア、今はとにかく寝ろ。

深く、ゆっくり休んで。

それから一緒に行こう、な?」

そう言ってアヤトはフィリシアをベッドに誘導した。


フィリシアは眠りたくなかったが、アヤトと話せたことで安心したのか、どっと睡魔が襲ってきた。


「うん…ごめん、少しだけ…」

そう呟くと、フィリシアはすうっと眠りについた。


アヤトはフィリシアが眠ったことを確認すると、そっと頬に触れた後部屋を出て行った。


「―――――…、ミシャ…」


ミシャの部屋の前まで歩いていく。


主を無くした部屋は、悲しそうにひっそりと存在していた…―――。





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