蒼い太陽
困ったようにアヤトはそう言うと、自分の後ろにある中庭の出入り口に視線を送った。


つられて、レガートもフィリシアも視線を送る。


………


「ダリア!」


そこには、ユウにしがみつき離れようとしないダリアの姿があった。


ユウとダリアの後ろに困ったように眉を下げるリリの姿も見える。


「…」


レガートはなんと言ってよいかわからなかった。


ダリアが何故ここにいるのか、理由は聞かずとも娘の考える事は何となく理解できた。


「レガート様、すみません…ダリアが。」


ユウがダリアを半ば引きずるようにしてレガート達の近くにやってきた。


「一緒に行くつもりかい?」


レガートが優しく、娘に話しかける。


「…私が行ったって、きっと何も出来ない。それはわかってる。
でも…何もしないでいるのは嫌なの…」


ダリアはレガートの反応が分からず、緊張した面もちでそう呟いた。


「…ふぅ。」


やがて、レガートが小さくため息をつく。


ダリアはピクリと小さく身体を震わせた。


「ユウ、ダリアを頼むぞ。」


ユウをしっかりと見つめながら、レガートはユウにそう伝えた。


「あなた!」


リリが焦ったようにレガートに詰め寄る。


娘を闇の国に送り出す事に不安を隠せないようだ。


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