蒼い太陽
強風に吹き飛ばされてから、どれほどの時間が経ったのだろう。
漆黒の細かな彫刻がなされた巨大な柱がいくつも聳え立つ広大で冷たい広間で、アヤトは目を覚ました。
吹き飛ばされた拍子に打ったのか、身体のあちこちが鈍く痛んだ。
うつ伏せに倒れていたアヤトは、漆黒の地から身体を起こした。
「…闇水晶。」
アヤトは自分のいる広間を見渡した。
闇水晶に自分が映り込むのが見える。
天井を見上げるがどこまでも高く続く闇だった。
闇族…てっきり明かりも一切ない漆黒に包まれた国だと思っていた。
明かりの根源は見当たらないものの、広間はふんわりと明るい。
立ち上がると、靴が地に当たるカツンと軽い音が鳴った。
「ようこそ、クエントへ。」
アヤトの背後から、柔らかくどこか冷酷な声が届いた。
瞬時に冷たいものが背に流れる感覚に襲われながら、アヤトは反射的に魔法で剣を取り出し振り返った。
奥の玉座で足を組み気だるそうにアヤトを見る男…。
「ゼオ。」