蒼い太陽
「あーもう!」


フィリシアは誰に言うでもなくそう呟くと、むくりとベッドから起き上がった。

再び光がほんのりと灯る。

すぐ横ではキュイキュイが気持ちよさそうに眠っている。


ベッドから抜け出すと、クロゼットから真っ白なストールを出して身体に羽織った。


ストールといっても、華奢で背もそれほど高くないフィリシアにとってはシーツと変わりない程大きい。


すそを少し引きずってしまう形になるが、気にしないことにした。


そっと音を立てないように廊下へ出た。


廊下は何一つ音がしない。

皆眠っているのだろう。


真夜中だが、少し探検してみることにした。


どうせ真夜中だ。誰かに会って怪しまれることもないだろう。


ほんのりと光が灯る廊下を延々と歩く。


突き当たりにある光の柱に入り、そしてまた歩く。


自分がどこを歩いているのかは全くわからなかったが、不安は全くなかった。



< 94 / 352 >

この作品をシェア

pagetop