蒼い太陽
さらに歩みを進めると、床が絨毯から大理石へ変化した。


きっと目が覚めた部屋や中庭が近いのだろう。


思ったとおり、中庭へたどり着いた。


真夜中であるため流石に誰もいない。


そこは昼間とは異なり頭上には一面の夜空が輝いている。


湖が生み出す光の玉は蛍のように無数に宙を舞っている。


ふと、上を見上げるとその中心には、満月が輝いていた。


「この空…魔法で作っているのではなく、魔法で雲の上を映し出している…?」


月からは確実に魔力が感じられるのだ。


手を月へかざすと、月から金色の光が降ってきた。


その光は幾つもの細い光となり、フィリシアの身体を優しく包み込む。


フィリシアはそっと瞼を閉じて、月の力を全身に取り込んだ。


「月光浴?」


クスクスと、誰かが笑う声がした。



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