コンビニ
彼女と出会ってから、何かが変わった。常に心の中に大きなわだかまりがあって…。君と話したいのに、俺は相変わらず話しかける事すら出来ないでいる。相変わらず俺は臆病者。

俺は木曜日を待った。彼女がコンビニにいる木曜日。今度こそ彼女と話そう。

会社に行くと、やたら他人の恋愛に首を突っ込んでくる、いわゆるお局社員2人組が話しかけてきた。
「ねえ、鈴木くんは彼女いないの?」
「…いや、いませんけど…」

「やっぱり?鈴木くん、早く見つけないといい人いなくなっちゃうわよ。何なら私でもいいわよ!」
この2人組は共に30歳近くで独身であるためタチが悪い。彼女がいないと聞くと、必ず自分はどうか、と聞いてくる。

「いや、あの〜、結構です」
「そう…。本当にいないの?鈴木くんはホラ、見た目もいい方だし、好きな人くらいいても不思議じゃないから」
「…本当にいないですよ」
少し引きつった作り笑いで俺は答えた。

「あっそう、まあいいよ。合コン位なら楽々セッティング出来るからね」
「…」
やたら男を欲しがる2人の執念に呆れたが、彼女の事が頭をよぎったためか、俺の顔は少し赤くなっていた。
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