コンビニ
朝。目覚ましのやけに音が高い電子音に起こされた。目をこすりながら、背伸びをした。

彼女の事がまだ頭を離れない。何もする事が無いと、必ず彼女の事が頭をよぎる。遅刻しそうだったので、食パン1つを口にしただけでアパートを出た。

会社に着くと、何やらいつもと雰囲気が違った。俺が勤めている2課は、何故かいつもと大違いで、早くから全員揃っていた。

「おい、鈴木!おっせ〜ぞ」
1年先輩の片平が話しかけてきた。
「あれ?遅刻ですか?」
「バカ。今日はほれ、あの幸せ者コンビのお祝いの宴会があるから、早めに来て仕事を終わらせるって話だろうが」
「あっ、そうでしたね。すみません。忘れてました」

幸せ者コンビと言うのは、今月に結婚する2課の社員カップルの事だ。ちょうど片平と同じ歳のカップルだったせいか、先を越された片平は妙に興奮している。

「なあ、鈴木よ。どう思う?あの2人」
「どう思うって…」
「俺は早く離婚すると思うが、お前はどう思うんだ?」
何かはいと言う答えを催促するような口調だった。

「片平さん、恨みでもあるんですか?」
「バカ言うなよ。誰が恨みなんて…」
部長の咳払いが聞こえた瞬間、片平も俺も会話を中断し、机にダッシュした。
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