コンビニ
柿崎は立ち上がった。再び拍手が起こった。曲名が分かった瞬間、会場は沸いた。Mr.Children、「抱きしめたい」

聴いてるこっちの方が恥ずかしくなりそうだった。確かに柿崎はミスチルが好きだと言っていた。しかし、自分からラブソングを選ぶとは…。女性社員たちは、ワー、キャー言いながら、顔を赤くしながら、太田をからかっていた。太田は照れながらも、どこか嬉しそうだった。

続いて、西川が「てんとう虫のサンバ」を熱唱。会場は2人のキスを求めるようになった。
「柿崎、根性だ、根性!」
片平がマイクを使って言った。片平は相当酔っているようだった。

「いや、根性とかじゃないだろ、片平」
2人は人前でのキスに抵抗しながらも、最終的にはキスをした。あれだけキスしろと言っていた片平は、2人がキスをした瞬間、少し悔しがっていた。

宴会は、部長が酔い潰れたのをいい事に、部長にハゲと言う悪酔い社員が出てきたのをきっかけに、半ば強制的に終わった。

タクシーで、アパート近くまで来た俺は、ふとあのコンビニに寄った。彼女は今日はいなかった。
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