最強ミックスフルーツ
「本以外には、興味を
もたなかった浩一が
変わったのは大学生になったころ
今まで、外にも
興味のなかった子が
よく外に出かけるようになったの。
頭のいい子だったから
ふつうの生活が無理でも
うちにはお金も地位もあるから
あの子の生きる道は
親がしっかり道をつけていく
つもりでいたから
不思議で
仕方がなかった。
その頃出会ってたのね……
心配で仕方がなかったけど
生き生きしている浩一が
嬉しくてついついくぎをさせずにいた。」


ババコがココアを入れてくれた。


「あなたのおかあさんのことを
やっと話してくれた時は
もう浩一はみちるさんに夢中だった。
両親を交通事故で亡くして
奨学金とバイトをしながら大学に
通っていたって
尊敬に値する子だったけど
私たちには、浩一の道を一番いい方向で
考えていたから
どうしても許せなかった。
浩一は、そんなみちるさんに
自分の持ってないものを見つけて
憧れたって言ってた。
みちるさんと話すようになって
モヤシの生活が恥ずかしくて
無理して合わせたものだから
病状が悪化して入院したの。」


ココアが甘くて美味しかった。


「その時、初めてみちるさんに
会ったわ。健康的で真っ白い歯が
光っていた。
浩一の病気を知らなかったと
何度も何度も頭を下げてた。

『この子は、心臓の病気で
ふつうの生活もなかなか難しいので
あなたのような太陽の下が
似合いそうな娘さんには無理です。
あなたが不幸になります。
あの子にはあの子の一番いいような
生活をさせていくので
もう会わないでくださいね』って
みちるさんにお願いしたの。
その時、もうみちるさんのおなかには
あなたがいたのね。」


ババコは深いため息をついた。



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