フラミンゴの壁
「だから、あなたの存在を確かめたのよ。」

「やけに悠長だね。俺を追いかけてきても、残念だが俺はその気にはなれない。」

ダナエが俺の態度に見かねて、「これ以上ここで話していても始まらない。これから、朝が来るまでにある人に会っていて欲しいの。」とダナエがいう。

「ある人って、お前たちみたいな不思議ちゃん?もしかして、もうひとりの俺がいるの?」

二人はまるで千年紀にひとりの存在のようにヒーローとして立てようとするが、逆に俺はアンチ・ヒーローだった。
無気力、無関心、無意欲の子どものころに流行った3Mだった。

「いやだ。もう帰ってねるよ。これから帰って寝ても3時間は眠れる。それから会社に行くよ。お昼休みでもヘルメスと3人で作戦でも立てよう」と2人を逆撫でするような意地悪を言って、ヘルメスの唇に自分の唇を合わせ、思いっきりヘルメスの唇に歯を当てて甘噛みした。

ダナエが「あっ」と不意にうたれた声を出す。

それから俺は一瞬にしてその場から姿を消した。

テレポテーションというのだろうか、俺がイメージしていたのは、自分がベットのうえで寝ているイメージだった。
生活を何度も繰り返していると、自分が落ち着くイメージは緊張がほどけるように持っている。
俺はダナエにきっかけを使うことで、時間を短縮して自宅へ帰宅したあとの自分を想像して帰宅したのだった。

おそらくそこまでのわずらわしい移動までの経験が、無意識のうちにこなしていたのだろう。

いわゆるショートカットで経験時間を削除したのだった。
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