フラミンゴの壁
第19章
俺がベットから起き上がると、気持ちのよい朝日が窓から差し込んでいた。
水に挿した花が風に揺れている。

俺は白い砂漠のうえを歩き、足元からなる水の音に耳をすませていた。
空には愛する世界が広がって、そこでは誰もが笑いながら俺に声をかけてきた。

「おはよう、小鳥さん。そちらはいいお天気ね。」

小さな女の子が俺を手にしようと人差し指をのばした。
俺の延ばした手が触れ合ったとたんに少女は雨の雫となって俺を伝って零れた。
白い砂漠はまるで海のように波たち、少女のカラダを呑み込んで行った。
世界にはあらゆる形体を維持することは必要とされなかった。
肉体もなければ、自我もなく、過去や記憶で自分をとどめることもできなかった。
また価値をはかるものもなかった。
ただ生命がひとつの総量となりそのなかにさまざまな可能性が溢れていた。
厳然と規定された法則もなく時間すら進行しているのかもわからないフラットな世界。
我々がきっかけで世界に覆われた厚い皮を剥いだ世界がこれだった。

そしてここから、不可視のものから可視のものへ拒絶から愛へと閉ざした光と影を引き離しながら永遠までもう一度、生命の育む大地のうえで世界創造がはじまる。
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