徒然之書
席替え
「はーい。
今日のロングは席替えするぞー。」
その瞬間ざわざわし始める教室。
「席替えだって紗穂(さほ)ー。この席いい感じなのにねー;;」
そう言って渋い顔をするのは親友の瑠奈。
「うん…。」
席替え…したくないな。
だって…
私の斜め前に座る…彼。
黒縁の眼鏡をかけて。
色素の薄い髪は綺麗に流されていて。
授業中はいつも眠そうな彼。
矢野悠人。
私はいつも暇さえあれば彼の事を見つめてた。
無意識で。
ー…席替えしたら、
見れなくなっちゃう…。
そんなことを悶々と考えていると…
「紗穂??つぎ紗穂の番だよ。」
「あっ。ごめんごめん。」
そう言って我に返りなんの意識をすることなく引いたくじには…
【40】
ー…一番後ろだ。
残念ながら前の方になってしまった瑠奈と一緒に移動を始める。
新しい席は一番窓際の一番後ろ。
暖房も近いし退屈な時は外を眺められるなあー。
なんて考えていたら。
ガタガタッ。
隣の住人になる人がやって来た。
でも次の瞬間私は固まってしまった。