徒然之書


なにが起こったのかわからないうちに悠人くんの顔は元の距離にあった。



「ー…ッあ、…あの…。」


今になって状況を理解したあたしは今さら顔が真っ赤に…。







「僕が気づいてないとでも?」

そう言って眼鏡を直す仕草にさえドキンとしてしまう。


「え…??」

顔を元通りにするのに一生懸命な私の思考回路はショート寸前。



「気づいていたよ。
西野宮さんがずっと僕の事を見ていたことくらい。」


「え…。」



気づかれてたことに今更気づいて…
私の顔はますます真っ赤。


「僕は元々恋愛なんて何が良いのかさっぱり解らなかった。数式みたいに答えが有るわけでもない問題に立ち向かうなんてバカげてる。」


「はぁ…ー。」



私が着いて行けてないのもお構いなしに話し続ける悠人くん。







「だけど君を見ていたらその答えが分かった気がしたんだ。」






そう言った悠人くんは眼鏡を外した瞳で真っ直ぐに私を捉えた。





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