優しい悪魔−マキコと和夫−
そんな時に、あのババアが部屋に来た。
何が目的か、うすうすわかる。
(いっそ、このままいってやれ。もしかしたら、こんな状態から脱出できるかも…。)
疲れきった頭は、そう思ってしまった。
けれど結果は、更に傷口を広げただけだ。
(まるで……、冷たいヘビと寝たみたいだ。)
自分が許せなかった。
夜中に家を飛び出し、最終の電車に乗った。
海岸まで行き、明け方まで砂浜を歩く。
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