優しい悪魔−マキコと和夫−

驚いたマキコは、左手で必死にコップをつかんだまま、右手でケータイにとびつく。

大声で言った。

「すみません! 
今、ケンカしてて。だっ大丈夫ですから。」

“マキコさん?”
和夫の母親の声だ。

「ハイ。今取り込み中で、失礼します。」

電話を切ろうとしたら、和夫の母親が続けて言った。


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