優しい悪魔−マキコと和夫−
部屋に入り、机の前のイスを引いた。
その瞬間ギョッとして、あとずさりした。
人の気配がする。
部屋の空気がおかしい。
和夫の目に映ったのは、イスに座ったあの女だった。
ヒザに幼い自分を座らせて、チャックのあいたズボンに手を入れて、まさぐっている。
「気持いい? 和夫。」
あの女はそう言っていた。
人形のように表情を無くした、幼い時の自分を見て、和夫は凍りついた。
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