優しい悪魔−マキコと和夫−

(今のは何だったんだ?)

家の外から、部屋の窓を見て思った。

(あんな所に自分はいたのか?
まるであの女の……体内みたいだ。)

和夫はゾーとする。

離れて始めて、部屋の空気が異様なものだとようやく気づいたのだ。

和夫は両手の冷汗を、喪服のズボンにすりつけた。


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