優しい悪魔−マキコと和夫−
マキコは両親に、懸命に訴えた。
「和夫はウソを言っていません。きっと、あの話は本当です。信じてあげて下さい。」
両親は困ったような様子だ。
マキコは繰り返し言った。
母親はうつむいて、遠慮しがちに答える。
「えぇ、本当だったとしても、だいぶ昔の事だし……。和夫は男の子だし。」
マキコはガクゼンとした。
この人達は知ってて、隠そうとしている?
(いくらなんでも……、
あんまりだ……、あんまりだ!
和夫が可哀想だ!)