優しい悪魔−マキコと和夫−
ガチャーン。
3人とも、ハッとした。
続けざまに、大きな音がした。
葬式のあった広間にかけつけると、和夫が台の上の物を、片っぱしから落としている。
和夫は土足で大広間にあがり込んでいた。
鬼の用な顔をして、叔母の遺影を手に取ると、両手に持って台の角に思いっきり、叩き付けた。
ガラスが割れ、床に飛び散る。
和夫の手に、いく筋かの赤い血が見えた。
それでもなお、何度も打ちつけている。