優しい悪魔−マキコと和夫−

叔母の写真は破れ、写真立ては変形して曲がってしまった。

和夫はそれを床にたたきつけると、今度は靴で踏みつけた。

「和夫!」

和夫はふり向くと、マキコと廊下で立ち止まっている両親を見つけた。

代わりに、マキコに叫んだ。

「マキコ!
オレはどうすればよかったんだ!
中学の時に死ねば良かったのか?

連続レイプ犯か殺人鬼になって、死刑になればよかったのか?
答えろ、マキコ!」

「和夫、あんたは悪くない。
悪くない!」


< 57 / 78 >

この作品をシェア

pagetop