優しい悪魔−マキコと和夫−
和夫は親をよびたくないと言う。
マキコが連絡したが、親も“和夫がイヤがっているから”と出るのを断った。
(和夫の家は普通と違う。)
そう思わざるを得なかった。
「えっ、出ないの?」
マキコが自分の母親に、その事を伝えると驚いていたが、やはり娘の結婚だから自分達は行くと言っている。
そしてパーティー当日、“普段着で”と何度も言ったのに、町工場(まちこうば)の職人の父親は一張羅のスーツ。
母親は着物を着込んで、店にやって来た。