狐と兎

話はいつもキルシュの一方的なものばかりでした。

ハルトが何処へ行く時もほぼ毎回キルシュは傍にいました。

それだけキルシュはハルトの事が好きだという事なのかもしれません。

そんなキルシュ達を周りの人々は少し憐れむかのように見ていました。

その視線がどんな意味なのかはキルシュは全く分からず、気にする事もしませんでした。


「君は本当に変わっているね」


キルシュがハルトに毎日のように会うようになって、どれ位経ったかは分かりません。

ハルトは初めてキルシュに微笑みかけました。

その表情を見たキルシュは顔を朝焼けのように真っ赤に染めて、今にも失神してしまいそうな様子でした。


「ハルトは笑うともっと素敵だね!　もっと笑えば良いのに」