狐と兎
「　　　　　　　　　　　　」
その後、家へ戻ったキルシュに対しシューテはこう言いました。


「何をそんなに泣いたの?」


シューテはキルシュの目が腫れている事にすぐに気付きました。

キルシュは適当に答えます。それは半分は事実で、半分は嘘でした。


「美味しい美味しいって、物凄く喜んでくれて。感動して涙が出ちゃった」


“明日は早いから”とキルシュはシューテとも、

寝る前にお風呂に入ろうとお風呂に向かった途中ですれ違った父親とも、

それっきり一切言葉を交わしませんでした。

お風呂に入り身体が暖かい内にキルシュは眠りへと就きました。

少しでも早くハルトの言う“ジジ様”に出会う為に。
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