狐と兎
知りたかった、でも知りたくなかった。
2人が出会って早数ヶ月。すっかり秋になりました。

辺りはセピア色に染まっていき、葉のついた木は少しずつ姿を消していきます。

キルシュとハルトの距離は恐らく1cm程しか近くはなっていないでしょう。

キルシュが知ったのはハルトが札使いで、お面が狐だということくらい。

ハルトが知ったのはキルシュが話したほぼ全て。

お互いの事をよく知っているとも言えない状況でした。


「ハルトは、あたしの事嫌いなの?」


いい加減キルシュはハルトがあまりにも自分の事を話さない事に、やや不安を覚え出しました。


「そんな事、ないと思う……」


ハルトの返事はいつもと変わらず。何処か曖昧で何処か適当でした。
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