狐と兎
「僕は本物だよ? でも驚いても仕方ないと思う」


すると淡々とハルトは説明を始めました。

呪いがかかっていたのは事実で、花が咲いて死が訪れたのもまた事実です。

しかしどういう訳か、カトラによれば呪いは花が咲いたと同時に消失したそうです。

それが分かったのはあの雪は降ったからだと言います。

あの雪は心変わりをする事がない頑固な黒い龍達が、気が変わった証拠。

季節外れの雪の場合は大抵がそうだという言い伝えがずっと残っていたそうです。

その心変わりの理由は不明ですが、心当たりがあればそれが理由だとの事。

キルシュが心当たりがあるのは龍の赤ちゃんを助けた事くらいでした。

あの赤ちゃんが呪いを解く事を親達に説得したのでしょうか?

真実は分かりませんでした。
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