狐と兎
「って事は……ハルトはまだ生きられるの?」
「まあ、ね。それですぐにでも会いたかった。
でも、何処にいるか分からなくて……毎日此処に来て正解だったよ」


ハルトはそう言ってそっとキルシュを抱き締めました。

突然の事にキルシュは戸惑いました。

こんなにハルトが積極的だったのかと、不安にもなりました。


「お願いがある。僕の所へ来る気はないか? というか来て欲しい」


言葉を上手く理解出来ないキルシュは、頭が今にもパンクしそうでした。

もしかしてこれは結婚の申し込みなのだろうか?キルシュはそう思いました。

しかしそうなのかどうかは怖くて聞けませんでした。

黙ったままのキルシュに、ハルトは言葉を言い改めました。
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