狐と兎
「僕が20歳になったら結婚してほしい。君は最初で最後の大切な人だから。キルシュ」


キルシュの疑問は解決されました。まさか結婚を申し込まれるとは、思いもしませんでした。


「あたしで良いの? 折角呪いが解けたんだし、他の人とも交際すれば良いのに」
「……君がいなければ僕はこの世界にはいなかったから。君が良いんだ」


本当にその言葉をハルトが言っているのかと、未だに疑問に思いながらも、

ハルトの腕から解放されたキルシュは彼を見つめました。

それは初めて見る真剣な目つきでした。

何時ものぼんやりとした様子は微塵も有りません。


「あたしも……ハルトが良いに決まっているでしょ!?」


何故か半分怒りながらキルシュは答えました。

そんなキルシュにハルトは微笑みかけました。


「有難う」
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