笑いのわら人形
「あの、所でですね」
「ここから出してほしいんスけど」
「いや~、ナニ捨てたんっスか?」
「下のほうで腐ってますよ」
「あ~臭い!」
ゴミ箱の中でわら人形が言った。

話を聞いていた歩が「あっ」という
顔をして
「え!?だっていらないもん」

「え!?ひどくないっすか、それ?」

微妙な沈黙が広がる。

「変な事とか、動かない?」聞く、歩。

「しないっスよ!」言う、わら人形。

おもむろに歩は、近くあった割り箸で
人形の足をつまんで取り出した。

「うわ~!うわ~!」
「信じられない!」
「なんか、すっごい屈辱なんすけど!」
「長くわら人形してるけど」
「こんな屈辱、味わった事ない!」
うるさく抗議するわら人形。

歩はちょっとイラっとして、
小声でつぶやいた。

「燃やそっかな・・・」

「い、いや冗談っスよ~」
少し涙声の感じで、わら人形が言った。


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