笑いのわら人形
ガサガさと袋の中身を
ナッちゃんに見せる。

「おお~!!!」
「そ、それは!」
「五寸クギ!」

金色に見える、真ちゅうで出来た
五寸クギを見せた。

「それも5本も!」
「気合入ってるっスね!あゆみさん!」

「い、いや、これは・・・」

学校の帰りに、わざわざ電車に乗って、
友人に聞いた、ホームセンターに
買いに行ってきた。

行ったのはいいが、正直
「五寸クギ」を知らない歩。

店員さんに、いきなり
「五寸クギ、下さ~い♪」
とは言えず、それらしきコーナーを
うろついた。

意を決すると
「スミマセ~ン」
と近くの店員さんに声をかけると

「あの、学校の行事で使うんですけど」
「長めのクギを探しているんですが」

「どの位の長さですか?」

「えっと」
適当に両手で、あいまいな長さを示し、
急に思いついた様に

「あ、そうだ」
「五寸・・・ていうんですか?」
「そういえば、男子が言ってたなぁ」

もう、女優モードで演じる歩。

「あ、こちらですね」

案内されると

「こちらです、何本ほどですか?」

猛スピードで思考が巡る。

「ここで一本って言ったら」
「はは~ん、コイツ、アレに使うんだな」
「とか思われるよね」

歩はにこやかに

「ご、五本で間に合うかな」

そう店員に答えた。

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