笑いのわら人形

その3

失恋した当日、歩は自宅の近くにある
「小さな神社」に立ち寄った。

神社といっても、鳥居一つとほこらが
あるだけ。あと
くたびれた木製の賽銭箱。

歩は、付き合いだした先輩が
別の女性と楽しそうに、町を歩いている
姿を見つけ、のちに問いただすと
「二股」をかけられてる事実を知る。

「どういう事なんですか?」

「だから~そういう事だよ」
「いちいちうるせ~よ」
「声かけてやっただけ、感謝しろよ」

次の瞬間「渾身のビンタ」を
先輩にぶちかました。

凄い勢いで鼻血を出す先輩。
しゃがみこみ、半泣き状態の先輩。

「て、てめ~なんか」

「ナニ!」

「あっち行けよ、ブス」

蹴りも入れてやろうかと思ったが
それは思いとどまる歩であった。
< 8 / 42 >

この作品をシェア

pagetop