手鞠唄~神は欠伸と共に世界を眺める~
「魂抜きされた人間は意識も戻らず、今は病院に収容されてるようよ?」
「他に異変とかないの?」
「それがさ、被害者の一人にさ、妙な話があってさ。」
「妙な話?」
「看護婦が、見回りをしてたら…なんだけど。」
「被害者の部屋がこう、明るかったらしいのね。」
「消灯後だから不思議に思って見てみたら。」
「和服姿の男が枕元に立って覗き込んでたんだって。」
「その時、何か呼び掛けていたみたいなんだけど、少しして『違う、もっと若い』って言って消えたんだって。」
「…それ、女性に対してなら、かなり失礼だよね。」