愛(殺)さなくてはならない人
バスタブがみるみるうちに真っ赤に染まる。
人間の血はこんなにも鮮やか赤なんだと初めて知った。

『佑介、どんな気持ち?大切なものを失うって…。苦しいでしょ?辛いでしょ?私はあなたが憎い。でも愛していたわ、心から。理解出来ないかもしれない。佑介、あなたは苦しみながら後悔しながら死ななきゃ。勇太の苦しみはこんなものではなかったのよ…』

佑介は何もかもが理解出来たかのように弱々しい目で私を見つめていた。
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