愛(殺)さなくてはならない人
私は佑介の最後を見つめていた。

一瞬目を開き何かを掴むように手を伸ばした。
何度か手を不自然に上下させると虚しく拳を力なく握り視点も定まらないまま目を閉じた。

きっと絶望と悲しみに支配され後悔と共に逝ったのね…。

佑介、あなたは当然の報いを受けただけなのよ…。

私には愛と憎しみをこれ以上同居させておけない…。

私も今悲しみで一杯よ。
でも、それと同じくらい喜びもあるの。

やっと私の殺るべき事が終わったんだもの…
私はそっと佑介の頬にキスをした。


さよなら…佑介…
< 77 / 89 >

この作品をシェア

pagetop