愛(殺)さなくてはならない人
私は夫に佑介が自殺したと伝えた。

夫は物凄くびっくりした様子で暫く黙っていた。

そして…

『きっと何年も何年も苦しんだんだろうな…。玲子、もう許してあげようじゃないか…。死をもって償ったんだ…。俺達もそろそろ前を見て生きて行こう』
私はその言葉に頷いた。

夫は再婚もせず相変わらず姑と二人で暮らしているそうだ。

『玲子、帰って来ないか?俺達きっと上手くやっていける。二人で歳を重ねるのも悪くない』

思いがけない言葉に私は涙が零れそうになる…。


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