‡黒兎の仕事‡


(まだ先生いんじゃん!)

その男は廊下を曲がり、消えてゆく。
歩美は走ってその男が曲がった方へと向かう。
角を曲がると男が扉へと消えてゆく姿が目に入った。
扉の前で立ち止まる歩美。

(こんな所に教室なんてあったっけ。)

歩美の目の前には見たこともないような扉。
ドアノブは金だがそれ以外は全て黒。

この時歩美の頭に一つの話が過った。
一昨日友達が話していたこの学校の噂。

【夜になると現れる黒い扉があるんだって】

噂を信じない歩美は『馬鹿馬鹿しい』と話を流した。
だが今、目の前にその扉‥らしきものが存在している。

(あの噂まじだったの‥?)

少し恐怖を覚えた歩美は一歩後ろへと後退りをする。
だが携帯のことを考え、唾をごくりと飲み込み、ドアノブに手を伸ばす。

(ただの噂だよね‥。しかも先生ここ入っていったし。)

ゆっくりとドアノブを回す。


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