‡黒兎の仕事‡
「いらっしゃいませ、お客様。」
その男は微笑みながら言葉を発した。
歩美「え?いや‥、てか誰‥?」
「これは失礼致しました。わたくし、黒兎と申します。幸せな夢の販売者、とでも言っておきましょうか。」
歩美「黒兎?夢の販売者?いやいや、意味わかんないんだけど‥。」
頭にハテナマークばかり浮かべて話す歩美。
意味がわからず、疑問ばかりが浮かんでくる。
歩美「え、つかここどこ?!」
やっとのことで我にかえり問う歩美。
「黒兎の相談所、ということにしておいて下さい。」
歩美「出口どこ?!」
少しの恐怖を覚え、焦り出す。
キョロキョロと周りを見渡し出口を探す。
が、出口らしきものはどこにもない。
「少々お待ちを‥」
そう黒兎が言うと、辺りがパッと明るくなる。
歩美は反射的に目を閉じる。
「さ、お客様。こちらへ。」
黒兎の声が聞こえ、静かに目を開けるとさっきとは違い、黒と白に包まれたモノクロの一室。
何がなんだかわからず呆然と立ち尽くす。
「お客様、大丈夫ですか?」
その言葉にはっとし、黒兎の方へと目をやる。
そこにはイスに手を向ける黒兎の姿があった。
歩美は全てがわからないまま、黒兎が差し出すイスの方へと歩き出し、イスへと腰掛ける。