‡黒兎の仕事‡

歩美が座ったイスと反対側のイスへと座り、話し出す黒兎。

「わたくし黒兎は、お客様に幸せな夢へとお連れする仕事をしております。」

歩美「幸せな夢?つかまじでここどこ?」

「見たいと思った夢があっても、思い通りに見ることは普通の人間では不可能です。ですが、わたくし黒兎は、お客様が見たいと思っている夢をお見せすることが可能なのです。」

歩美「はぁ‥。」

「二つ目の質問ですが、簡単に言えばここはわたくしが作った異空間になります。」

歩美「異空間?」

「はい。わたくし黒兎は昼間力を使うことができません。ですから、夜この異空間を開きお客様を待っているのです。」

だから噂では夜にしか現れないって言ってたのか、と思い噂に少し納得をする。
だがまた疑問が浮かんできた。

歩美「‥出れないの?」

「出ることは可能です。」

歩美「じゃあ帰してくんない?」

「お帰しすることはできますが、見たい夢、ありませんか?‥歩美様。」

歩美は、自分の名前を何故知ってるのか、と驚きを隠せずにいた。
名乗ってはないはず、と頭をフル回転させ考えるが答えは出てこない。

歩美「なんであたしの名前知ってんの?」

「お客様のことならなんでも知っていますよ。例えば‥龍也様が好きということとか。」

にっこりと笑い答える黒兎。
驚きを隠せない歩美。

歩美「なんで知ってんの?!」

(龍也君を好きだなんて誰にも言ってないのに‥!)

「さて、何故でしょう?」

黒兎は悪戯に笑い、逆に歩美に問う。

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