恋するレンズのむこう




『陸、ありがとう』


あたしは陸にお礼を言いながら陸と体を離す。


でも顔を上げるとそこには梓に似ている陸があたしを見ていた。


切なく、悲しげにあたしを見る陸。


そんな顔を見せられるとあたしはまた泣きたくなった。


「そんな…顔するなよ」

陸はあたしの顔を見て傷ついた顔をした。


そして…


陸の手がまたあたしの背中に回り、あたしは陸の胸の中に吸い込まれるように引き寄せられる。


抱き締められた…


それだけではない


あたしの唇に優しく暖かい“何か”が当っていた。

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